第151回『まちむら興し塾』 2018年1月18日
    テーマ
         日本遺産について
        コメンテーター
        JTB総合研究所 客員研究員 松井一郎 さん
    『まちむら興し塾』当日風景・参加者写真
 
 北前船 寄港地船主集落 新潟市旧斎藤家別邸
  ● はじめに
    

 今まで、地域振興や活性化などの意識などは全く無く、ひたすら遺産の保護と管理だけをしていた文化庁が、方向を転換して、一定の条件を付けて、日本遺産をもっと広く認知させようと、日本遺産を活用するための支援を始めることになりました。

 

 日本遺産として現在57地区の認定をしました。

 その管理は各地域の教育委員会が担うことになったのですが、今まで観光も地域振興と無縁の組織だった教育委員会だけに、活動の方向は、型にはまった学校の先生方の延長線上にあるようで、広く認知を図る≠活性化を図るとはならず、認識のずれがあり、せっかく認定までこぎ着けたのに、地域の人たちは溶けこめず、喜びきれず、歯がゆさを感じている事例が、多く見受けられるのが現状のようです。

 やっと、認定制度に着手したのですから、もう一歩踏み出して、柔軟に、発想を拡大させて、地元に密着した、日本遺産運用の展開を期待したいものです。

 

  【日本遺産について】

 出典 日本遺産ポータルサイト 
    文化庁 日本遺産とは

      2014年 認定先公募を開始
      2015年 第1回 認定
   1 日本遺産を設定した背景  
     ○ 日本遺産の考え方


)文化財や伝統文化を地域の活性化に活かす。

ⅱ)地域の歴史的経緯や地域の風土に根ざした伝承・風習をストー

  リー化する。

ⅲ)そのストーリーに有形・無形の文化財をパッケージ化する。

ⅳ)地域の活性化に資するための環境整備を行う。

   ⇒人材育成、情報発信

  ⅴ)文化庁はストーリーを日本遺産として認定し、活用を支援す

る。

     ○ 文化財と日本遺産


  )これまでの文化財政策では、国宝、重要文化財、史跡、名勝、
    無形文化財、民俗文化財など、個ノマの遺産を「点」として指定し、
    『保存・保護』することに重点を置いてきたため、活用の視点が
    欠けている。

 

ⅱ)日本遺産では、『活用』することを重視し、ストーリーの構
  に必要な文化財などをパッケージ化して「面」としてとらえ、
  一体的にPRする。そうすることによって、地域のブランド化、
  アイデンティティの再確認を促す。

     ○ 日本遺産認定の3条件


ⅰ)地域に点在する文化財を把握し、及び関わりを持ち、ストーリ
  ーによりパッケージ化する。

 

ⅱ)地域全体として一体的に整備・活用をすすめる。

 

ⅲ)国内外に向けて積極的かつ戦略的、効果的に発信しつづける。

  2 日本遺産事業のスキーム  

    ○ 日本遺産事業は、これまでの文化財施策や世界遺産事業とは無関係
      である。


  ⇒ 文化財としての保護・保全を前提としてきた

 

○ 文化庁は、地域を語るストーリーを日本遺産として認定するとともに、
  その活用を支援するが、個別事業を推進する活動の主体は自治体である。

  
  ⇒ 今までは観光課が主管となって地域の活性化を推進してきた。

    観光化、関係者個人・関連団体の主旨にそって活用      

 

○ ストーリーは、その地域についての知識が乏しい人たちにもわかり

やすく、地域に対する興味や関心を高めるような構成とする。

 

○ ストーリーが単一市町村内で完結する「地域型」と複数の市町村に

またがる「シリアル型」の2種類とする。

 

○ 単に地域の歴史や文化財の価値を説明するだけのストーリーであっ

てはならない。

明確なテーマのもとに構成されたストーリーが必要である。

  ⇒ 地域の特性が説明され、地域での位置づけと効果が表現されて

いるものが対象

 

○ ストーリーを構成する文化財群は、必ずしも国指定の文化財である

必要はなく、地方指定文化財や指定外のものでもよいが、少なくと
も一つは国指定文化財を入れる。

 

○ 申請者は市町村とするが、都道府県を通じて申請することとし、同

一都道府県において複数の申請がある場合は都道府県が優先順位を
付して申請すること。

 

○ 日本遺産事業では、2020年までに100件程度を認定する予定

であり、各地にバランスよく存在することが理想である。また、こ
の事業による様ノマな国の支援は、認定後5年と考えており、その期
間以後は、自立した事業とする。


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 文化庁ホームページより
  「日本遺産(Japan Heritage)」について
     平成30年度の日本遺産の認定にあたり、各市町村からの申請を募集します。
    1.「日本遺産(Japan Heritage)」とは 

(1)我が国の文化・伝統を語るストーリーを認定

「日本遺産」は(地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化・伝統を語るストーリーを「日本遺産」として文化庁が認定するものです。

 

 ストーリーを語る上で欠かせない魅力溢れる有形や無形の様々な文化財群を,地域が主体となって総合的に整備・活用し,国内だけでなく海外へも戦略的に発信していくことにより,地域の活性化を図ることを目的としています。

 

「日本遺産(Japan Heritage)」パンフレット(19.3MB)

日本遺産ポータルサイト

 

(2)世界遺産や指定文化財との違い

 世界遺産登録や文化財指定は,いずれも登録・指定される文化財(文化遺産)の価値付けを行い,保護を担保することを目的とするものです。

 

 一方で日本遺産は,既存の文化財の価値付けや保全のための新たな規制を図ることを目的としたものではなく,地域に点在する遺産を「面」として活用し,発信することで、地域活性化を図ることを目的としている点に違いがあります。

 

(3)認定による効果

 「日本遺産」に認定されると,認定された当該地域の認知度が高まるとともに,今後,日本遺産を通じた様々な取組を行うことにより,地域住民のアイデンティティの再確認や地域のブランド化等にも貢献し、ひいては地方創生に大いに資するものとなると考えています。

 

(4)これまでに認定された「日本遺産)」

   これまでに認定された「日本遺産」一覧

    2.「日本遺産」の認定


(1)認定に当たって

「日本遺産」として認定するストーリーは,次の3点を踏まえた内容とします。

1)歴史的経緯や(地域の風土に根ざし世代を超えて受け継がれている伝承、風習等を踏まえたストーリーであること。

2)ストーリーの中核には,地域の魅力として発信する

明確なテーマを設定の上、建造物や遺跡・名勝地,祭りなど,地域に根ざして継承・保存がなされている文化財にまつわるものが据えられていること。

3)単に地域の歴史や文化財の価値を解説するだけのも

  のになっていないこと。

       日本遺産として認定するストーリーには次の2種類があります。

   ・「地域型」 

    :単一の市町村内でストーリーが完結する

   ・「シリアル型(ネットワーク型)」

    :複数の市町村にまたがってストーリーが展開

 

 また,ストーリーを語る上で不可欠な文化財群には,地域に受け継がれている有形・無形のあらゆる文化財を対象とすることができ、地方指定や未指定の文化財も含めることができますが、国指定・選定文化財を必ず一つは含めることとする必要があります。

(2)認定申請の手続き

年に1回,文化庁が都道府県教育委員会を通じて、「日本遺産」認定の希望に関する募集を行います。

 

(3)日本遺産審査委員会による審査

提出されたストーリーは、日本遺産審査委員会において、以下の審査基準に基づく審査を経て、「日本遺産」に認定されます。

       認定基準

1)ストーリーの内容が、当該地域の際立った歴史的特徴・特

色を示すものであるとともに我が国の魅力を十分に伝えるものとなっていること。

2)日本遺産という資源を活かした地域づくりについての将来

像(ビジョン)と、実現に向けた具体的な方策が適切に示されていること。

3)ストーリーの国内外への戦略的・効果的な発信など、日本

遺産を通じた地域活性化の推進が可能となる体制が整備されていること。

3.日本遺産を通じた地域活性化への支援

 日本遺産として認定されたストーリーの魅力発信や,日本遺産を通じた地域活性化については、「日本遺産魅力発信事業」として,日本遺産に関する

(1)情報発信・人材育成,

(2)普及啓発事業,

(3)調査研究事業,

(4)公開活用のための整備に対して文化芸術振興費補助金を

   交付するなど、文化庁が積極的に支援します。

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       日本遺産魅力発信推進事業について(3MB)

《 平成27年度から平成29年度までに認定された
      「日本遺産(Japan Heritage)」一覧 》
 

      ストーリーは次の54件 
 写真:日本遺産ポータルサイトより

申請者(◎は代表自治体)

ストーリーのタイトル

◎水戸市(茨城県)
・足利市(栃木県)
・備前市(岡山県)
・日田市(大分県)

近世日本の教育遺産群
-学ぶ心・礼節の本源-

◎群馬県(桐生市,甘楽町,
 中之条町,片品村)

かかあ天下-ぐんまの絹物語-

   

高岡市

加賀前田家ゆかりの町民文化が花咲くまち高岡-人、技、心-

◎石川県
(七尾市,輪島市,珠洲市,
 志賀町,穴水町,能登町)

灯(あか)り舞う半島 能登 ~熱狂のキリコ祭り~

◎福井県
(小浜市,若狭町)

海と都をつなぐ若狭の往来文化遺産群 ~御食国(みけつくに)若狭と鯖街道~

岐阜市

「信長公のおもてなし」が息づく戦国城下町・岐阜

明和町

祈る皇女斎王のみやこ 斎宮

◎滋賀県(大津市,彦根市,近江八幡市,高島市,東近江市,米原市,長浜市)

琵琶湖とその水辺景観-祈りと暮らしの水遺産

◎京都府(宇治市,城陽市,八幡市,京田辺市,木津川市,久御山町,井手町,宇治田原町,笠置町,和束町,精華町,南山城村)

日本茶800年の歴史散歩

篠山市

丹波篠山 デカンショ節 -民謡に乗せて歌い継ぐふるさとの記憶

◎明日香村・橿原市・高取町

「日本国創成のとき―飛鳥を翔(かけ)た女性たち―」

三朝町

六根清浄と六感治癒の地~日本一危ない国宝鑑賞と世界屈指のラドン泉~

津和野町

津和野今昔~百景図を歩く~

尾道市

尾道水道が紡いだ中世からの箱庭的都市

◎愛媛県・高知県・徳島県・香川県(各県内57市町村)

「四国遍路」~回遊型巡礼路と独自の巡礼文化~

太宰府市

古代日本の「西の都」~東アジアとの交流拠点~

◎長崎県
(対馬市,壱岐市,五島市,
 新上五島町)

国境の島 壱岐・対馬・五島 ~古代からの架け橋~

   
五島 原の辻遺跡  三井(みみらく)の島 

◎人吉市・錦町・あさぎり町・多良木町・湯前町・水上村・相良村・五木村・山江村・球磨村

相良700年が生んだ保守と進取の文化 ~ 日本でもっとも豊かな隠れ里 ― 人吉球磨~

◎宮城県
(仙台市,塩竈市,多賀城市,
 松島町)

政宗が育んだ“伊達”な文化

◎山形県
(鶴岡市,西川町,庄内町)

自然と信仰が息づく『生まれかわりの旅』~樹齢300年を超える杉並木につつまれた2,446段の石段から始まる出羽三山~

◎ 会津若松市・喜多方市
 ・南会津町・下郷町・檜枝岐村
 ・只見町・北塩原村・西会津町
 ・磐梯町・猪苗代町
 ・会津坂下町・湯川村・柳津町
 ・会津美里町・三島町
 ・金山町・昭和村

会津の三十三観音めぐり~巡礼を通して観た往時の会津の文化~

◎郡山市・猪苗代町

未来を拓いた「一本の水路」-大久保利通“最期の夢”と開拓者の軌跡 郡山・猪苗代-

◎千葉県
(佐倉市,成田市,香取市,
 銚子市)

「北総四都市江戸紀行・江戸を感じる北総の町並み」─佐倉・成田・佐原・銚子:百万都市江戸を支えた江戸近郊の四つの代表的町並み群─

   

伊勢原市

江戸庶民の信仰と行楽の地~巨大な木太刀を担いで「大山詣り」~

   
 小太刀を持って大山詣で 大山寺 

鎌倉市

「いざ,鎌倉」 ~歴史と文化が描くモザイク画のまちへ~

◎三条市・新潟市・長岡市
 ・十日町市・津南町

「なんだ,コレは!」 信濃川流域の火焔型土器と雪国の文化

小松市

『珠玉と歩む物語』小松 ~時の流れの中で磨き上げた石の文化~

◎南木曽町・大桑村・上松町
 ・木曽町・木祖村・王滝村
 ・塩尻市

木曽路はすべて山の中 ~山を守り 山に生きる~

高山市

飛騨匠の技・こころ ―木とともに,今に引き継ぐ1300年―

◎淡路市・洲本市・南あわじ市

『古事記』の冒頭を飾る「国生みの島・淡路」~古代国家を支えた海人の営み~

◎吉野町・下市町・黒滝村
 ・天川村・下北山村・川上村
 ・上北山村・東吉野村

森に育まれ,森を育んだ人々の暮らしとこころ~美林連なる造林発祥の地“吉野”~

◎和歌山県(新宮市,那智勝浦町,太地町,串本町)

鯨とともに生きる2.3MB

◎大山町・伯耆町・江府町
 ・米子市

地蔵信仰が育んだ日本最大の大山牛馬市

◎雲南市・安来市・奥出雲町

出雲國たたら風土記 ~鉄づくり千年が生んだ物語~

◎呉市(広島県)・横須賀市(神奈川県)・佐世保市(長崎県)・舞鶴市(京都府)

鎮守府 横須賀・呉・佐世保・舞鶴~日本近代化の躍動を体感できるまち~

 
 横須賀 猿島 砲台跡  佐世保 クルージング

◎今治市(愛媛県)
 ・尾道市(広島県)

“日本最大の海賊”の本拠地:芸予諸島-よみがえる村上海賊“Murakami KAIZOKU”の記憶-

◎佐賀県(唐津市,伊万里市,武雄市,嬉野市,有田町)長崎県(佐世保市,平戸市,波佐見町)

日本磁器のふるさと 肥前 ~百花繚乱のやきもの散歩~

   
 三川内(みんわち)焼

江差町

江差の五月は江戸にもない ─ニシンの繁栄が息づく町─

◎酒田市(山形県)・函館市・松前町(北海道)・鰺ヶ沢町・深浦町(青森県)・秋田市(秋田県)・新潟市・長岡市(新潟県)・加賀市(石川県)・敦賀市・南越前町(福井県)

荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間 ~北前船寄港地・船主集落~

鶴岡市

サムライゆかりのシルク 日本近代化の原風景に出会うまち鶴岡へ

行田市

和装文化の足元を支え続ける足袋蔵のまち行田

   
 行田 古墳  行田 足袋

◎甲賀市(滋賀県)
 ・伊賀市(三重県)

忍びの里 伊賀・甲賀─リアル忍者を求めて─

◎京都府(宮津市,京丹後市,与謝野町,伊根町)

300年を紡ぐ絹が織り成す丹後ちりめん回廊

◎大阪府(大阪市,堺市,松原市,羽曳野市,太子町),奈良県(葛城市,大和高田市,橿原市,桜井市,明日香村)

1400年に渡る悠久の歴史を伝える「最古の国道」~竹内街道・横大路(大道)~

◎朝来市・姫路市・福崎町
 ・市川町・神河町・養父市

播但貫く,銀の馬車道 鉱石の道~資源大国日本の記憶をたどる73kmの轍~

◎和歌山県
(和歌山市,海南市)

絶景の宝庫 和歌の浦

湯浅町

「最初の一滴」醤油醸造の発祥の地 紀州湯浅

出雲市

日が沈む聖地出雲 ~神が創り出した地の夕日を巡る~

倉敷市

一輪の綿花から始まる倉敷物語 ~和と洋が織りなす繊維のまち~

◎備前市(岡山県)
・越前町(福井県)
・瀬戸市・常滑市(愛知県)
・甲賀市(滋賀県)
・篠山市(兵庫県)

きっと恋する六古窯 ─日本生まれ日本育ちのやきもの産地─

◎安田町・奈半利町・田野町・北川村・馬路村

森林鉄道から日本一のゆずロードへ ─ゆずが香り彩る南国土佐・中芸地域の景観と食文化─

◎北九州市(福岡県)
 ・下関市(山口県)

関門“ノスタルジック”海峡 ~時の停車場,近代化の記憶~

◎山鹿市・玉名市・菊池市
 ・和水町

米作り,二千年にわたる大地の記憶 ~菊池川流域「今昔『水稲』物語」~

◎中津市・玖珠町

やばけい遊覧~大地に描いた山水絵巻の道をゆく

   
耶馬溪 石柱  サイクリング道路 
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 『まちむら興し塾』・参加者・二次会
今年も和気あいあいと

後列左から、丸田君、坂井さん、金谷さんん、樋口さん
中列 髙野さん、田中さん、吉田さん、朝山さん
前列 左から松井さん、上松さん、長坂
 
説明中
 今日のコメンテーター 松井さん 上松さん
   
吉田さん、金谷さん、髙野さん  樋口さん、上松さん 
 丸田君  樋口さん
朝山さん、田中さん、坂井さん 丸田君、松井さん
 金谷さん 髙野さん
田中さん    坂井さん
二次会
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